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![]() 〜ホームヘルパーの仕事 (訪問介護・在宅介護)体験記〜 |
■旅行に行きたい
修学旅行の思い出を繰り返して語ってくださる利用者さんは多いです。
ある利用者さん、Aさん。 ある重い身体障がいをお持ちの方です。 年々症状が重くなっています。 この方が修学旅行に行ったのはもう10年も前になるはず。ですが、修学旅行の話は何度も何度も繰り返して聞かせて下さいます。養護学校時代の、修学旅行の思い出です。 彼女は通所授産施設に通っておられます。 しかし通えるのは毎日ではありません。 体調が良い時にだけ通っておられます。 その日数はどんどん減っています。 その施設でも泊りがけの旅行があるようです。 毎年計画されているものがあるようです。 1泊2日程度の、短いものです。 ですがそれに彼女は参加出来ません。 旅行中、彼女には(できることなら)つきっきりの、1対1の介護が必要になること、容態が急変する可能性が常にあるため、ご家族の方はAさんが旅行に参加することには大きな不安を感じておられます。 又、施設の方々に負担をかけてしまうことになるので・・という思いがお母さんにはあるようです。そしてその施設に来ている他の利用者さんが「ふざけて」Aさんを後ろから押したことがかつてあったようで・・そういうモロモロの心配もあるようです。 そんなわけで、「万が一」のことが起こる可能性が高いため、最近では旅行には行かれていません。 旅行には確かに行けないのですが、日帰りの近場への旅行には参加されています。関西圏への、ごく近場への旅行です。 その日が近づいてくると「その日は晴れるかな、晴れるかな」という会話が延々続きます。車椅子のメンテナンスもとても気になるご様子。 そして体調を整えるために夜はかなり早く就寝されたり、ワクワクしておられます。見ているこちらまで嬉しくなります。 泊りがけで出かけることは出来なくなったけれども、こういう楽しみがあることが彼女の希望につながると思います。 でも・・もう一度旅行に行ってみたいだろうなあ・・と思うのです。Aさんは、旅行が大好きらしいのです。特に「お泊り」が大好きらしくて。 ・・と思っていたら、実はAさんは「お泊り」はよくしておられるそうなのです。近くの親戚の方のおうちなどに。これだとお母さんの許可も下りるらしく。大好きな「お泊り」の回数を増やしているそうで・・。 本当の旅行とは違います。でもそんなことはどうでもいいのです、「お泊り」には違いない。 なるほどその手があった!!と感心しました(笑)。 |