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「一歩」を惜しむ 〜ホームヘルパー (訪問介護・在宅介護)体験記〜 ![]() |
■「一歩」を惜しむ
ある高齢者の利用者さんが私のその方の家までの行き方についてやたら聞きたがるのです。 この高齢者の方の家に行く道順は色々あって、その日の気分で色々な道を歩いて行くのです。私がこの方の家に行く時に必ずこの道を行く、というような決まった道というのはないんです。 ですが、ある時、緑の綺麗な公園がある道からその方の家に行けることが分かり、いつもの道を歩いて行くことをやめたのです。 その利用者さんは別に私が家に来るのを外に出てじーっと見ているわけでもないと思うんですが、いつも「まりんちゃん(本名、下の名前ににちゃん付けです)、あっちの道の方がいいのに」と繰り返す。 うーむ、やっぱり、私がどこから来ているか見ておられるのデスネ。足音で分かるのかな、右から来るとか左から来るとか?? 私には「あっちの道がいい」、っていう意味が分からないわけです。道に良いも悪いもあるんだろうか?良い悪いを言うなら緑の綺麗な公園を通って来た方がいいに決まっているのになあ・・と思いました。 でもよくよくお聞きしてみると、この利用者さんは「歩数」で良い道悪い道を判断しているらしい、ということが分かりました。 この方は足が不自由な方なので、いかに効率よく歩くか?ということをいつも考えておられるのです。なので、自分以外の人達についても、アドバイスをしたいみたいなのです。 つまりこれは、 「いかに歩数を減らして家に辿りつくか」についてのアドバイスです・・! 表から来るより裏から来る方が20歩節約になるとかいう話です。 ■利用者さんと私(ヘルパー)、感覚の違い 私は歩くことが好きです。 最近はちょっと疲れ気味ですが、それでも歩くことがそこまで不快になったことはないしです。 家には登山靴があるし、ウォーキングシューズもあります。体力をつける意味でも歩く距離は少しでも遠い方がいいと思っていますし、出来るだけ「多めに」歩くようにしていますので歩数を減らす努力というのは全くしないんです・・。 どちらかというと、歩数を増やす歩き方を心がけています。 ですが足がご不自由なこの利用者さんにしてみれば、一歩一歩が命がけ・・なわけです。だから周りの皆もそうだろうということで、少しでも近い道を教えて下さった、というわけです。 この辺に、私と利用者さんの感覚の違いを感じます。 勉強になります・・。 普通にいわゆる健常者(らしき)ものをやっていると、分からない感覚なんですよね。 ・・でも私は相変わらず歩く度にこの利用者さんのアドバイスを忘れて公園の方を歩いて行ってしまうのですが(笑)。 |